GMC Syclone
タイフーンが発表される1年前、スーパーカーに後塵を浴びせるスーパー・ハイパフォーマンス・トラックが誕生する。”テスタロッサ・キラー”の異名を持つ「サイクロン」である。このハイパワー+フルタイムAWDシステムのスーパートラック抜きにしてタイフーンは存在しないのである。

タイフーンのルーツは80年代、コンセプトモデルとして発表されたGMCサイクロンや1989年に「Buick」で作られたレーシングトラックの「Chevy Syclone」である。
「Buick」のサイクロンは300psのレーシングエンジンを搭載したコンパクトトラックで、GMCのプロトタイプは「S15ソノマ」をベースに3.8リッターV6エンジンで270psを出していた。その後、数々のプロトタイプを制作しデトロイトショーなどで発表していく。
そして1990年にユタ州のボンネビル・スピードウェイで開催されたボンネビル・ナショナル・スピードトライアルにピックアップトラック最速を目指し最高出力549HPの「 サイクロン LSR」を制作し最高速に挑戦し、そこでトラックとしてはとてつもない記録を叩き出す。
なんと、時速210マイル(約336km/h)を記録したのだ。

GMCがこのホモロゲーションを取得すべく誕生したのがサイクロンである。
S15・ソノマをベースに車高が低く落とし込まれ、当時としては攻撃的なエアロパーツがボディーを取り巻き、シートはバケットタイプを装着、ステアリングホイールも一昔前のコルベット風に、フロアマウントされたシフトノブはC4コルベットのものを選択。
アメリカで過給機といえば一般的に「スーパーチャージャー」が普通だが、GMCは「ターボチャージャー」を選択し、それに合わせてピストンとエキゾーストシステムを新調、L88用のスロットルボディーとインタークーラーを装備して最高出力280hpを叩きだし、鳴り物入りでデビューする事になる。
アメリカのカー雑誌”Car and Driver”のテストで0ー60マイル(約96キロ)加速を4.6秒、でもその記録は濡れた路面での記録で、ドライ路面では4.3秒で駆け抜けた。その脅威的なタイムを記録する重要なポイントが”フルタイムAWDシステム”である。
280hpを余すことなく路面に伝えるAWDはフロント35%・リア65%のトルクを配分して、当時のV8フェラーリはおろかテスタロッサよりも速いと噂になりました。タイフーンの元になっているだけあってエンジンスペックは同じであるが、ピックアップであるぶんサイクロンは軽量な為、加速に関してはサイクロンに分があった。
市販型のサイクロンは1991年に僅か2998台が作られ、生産も半年で終了。
その後、92年に3台が追加生産される。市販されたボディーカラーはブラックのみ、92年モデルからカラーを増やす案があったものの、生産終了となりタイフーンに以降することとなる。生産された固体のほとんどがアメリカ、一部は中東に振り分けられた..つまり日本にはほとんど入っていない激レア・マシンである。
